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大阪地方裁判所 昭和51年(わ)554号 判決

本籍

大阪市南区難波新地三番町三〇番地

住居

同所一番町四番三号

歯科医師

芳鐘豊

昭和四年三月二〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官足達襄出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決した。

主文

被告人を懲役六月及び罰金七〇〇万円に処する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市南区難波新地一番町四番三号において、「芳鐘歯科医院」の名称で歯科医業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一、昭和四七年分の所得金額が二二、四五四、五二四円で、これに対する所得税額が八、九一二、九〇〇円であるのにかかわらず、自費診療収入等の収入金の一部を除外し、これによつて得た資金を架空名義の貸付信託にするなどの行為により、右所得金額のうち、一五、一二三、二五〇円を秘匿したうえ、昭和四八年三月一二日、大阪市南区高津七番丁二五所在南税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が七、三三一、二七四円で、これに対する所得税額が九九二、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の所得税七、九二〇、三〇〇円を免れ、

第二、昭和四八年分の所得金額が三六、四五七、四五一円で、これに対する所得税額が一七、五二九、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち二九、九四三、〇八六円を秘匿したうえ、昭和四九年三月一三日、前記南税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六、五一四、三六五円で、これに対する所得税額が八八五、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の所得税一六、六四三、七〇〇円を免れ、

第三、昭和四九年分の所得金額が二九、四九八、〇〇八円で、これに対する所得税額が一一、九二六、〇〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち二二、〇五五、六五六円を秘匿したうえ、昭和五〇年三月一三日、同区田島町二五番地の一号所在南税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が七、四四二、三五二円で、これに対する所得税額が八八七、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同年分の所得税一一、〇三八、二〇〇円を免れ、

たものである。

(法令の適用)

一、判示各所為 各所得税法二三八条一項(いずれも懲役刑と罰金刑とを併科

一、併合罪処理 刑法四五条前段の併合罪、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯則の最も重い判示第二の罪の刑に法定の 重、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算

一、執行猶予 懲役刑につき、同法二五条一項

一、労役場留置 同法一八条

以上のとおり判決した。

昭和五一年七月八日

裁判所書記官 上田隆敏

(裁判官 栗原宏武)

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